シチリア州
●エトナ
日本では映画「ゴッドファーザー」の影響もあってマフィアのイメージが強いシチリアですが、歴史的に複雑な文化の融合がみられる魅力的な土地柄です。食文化も盛んな漁業と農業を反映した独特の料理が多くあります。
活火山エトナの山麓にはオリーヴ、ブドウの産地が広がり、オリーヴオイルと赤ワインは日本でも知られているシチリア料理の要素になっています。刺激のあるエクストラヴァージンオリーヴオイルと濃厚な赤ワインはシチリアの食文化に溶け込んでいます。
●エトナ
日本では映画「ゴッドファーザー」の影響もあってマフィアのイメージが強いシチリアですが、歴史的に複雑な文化の融合がみられる魅力的な土地柄です。食文化も盛んな漁業と農業を反映した独特の料理が多くあります。
活火山エトナの山麓にはオリーヴ、ブドウの産地が広がり、オリーヴオイルと赤ワインは日本でも知られているシチリア料理の要素になっています。刺激のあるエクストラヴァージンオリーヴオイルと濃厚な赤ワインはシチリアの食文化に溶け込んでいます。
●ナポリ
イタリアの代表的な料理の一つであるクッチーナ・ナポレターナ(ナポリ郷土料理)の代表格は、もちろん日本でも良く知られているナポリピッツァ(Pizza Napoletana)。
小麦粉(ファリーナ)と塩を水でねり、一般的には48時間程度熟成させたドゥを手際よく延ばし、淵の盛り上がった独特のクラストを手作業で作ります。トマトソースを乗せトッピングにカンパーニア州特産のモッツァレラチーズとバジルの葉をちぎって使い、ほんの数分450度のピッツァ釜で焼き上げると定番のマルゲリータの出来上がり。モチモチ感のあるクラストは味わい深く、一度食べるとパン生地の“ピザ”には満足できなくなります。
ナポリにはまたナポリっ子が行列を作るナポリピッツァ専門店が沢山あります。その代表が日本びいきでもあるピッツァ職人エンゾウ・コッチア氏が経営するPizzaria La Notizia(ピッツァリア・ラ・ノティツィア)です。
夜でも夕食にピッツァを求める人達の行列ができ、テーブルに座るまでに2時間待ちが普通のようです。絶品のマルゲリータは人気メニューの一つです。デザートにはクラストに甘いチョコレートペーストのヌテッラ(イタリアでは朝食スプレッドとして有名)を包み込んだお菓子がお薦めです。
Pizzaria・La・Notizia :Via Michelangelo da Caravaggio 94/A Napoli
Tel:081 19531937
E-mail:info@pizzaconsulting.it
クッチーナ・ナポレターナにはナポリピッツァの他にも、パスタでは日本でも一般的になっているスパゲティボンゴレ、筒状パスタのパッケリのトマトソース、リングーネのシーフードソースなどがあります。
代表的な食材としては、もちろんトマト、モッツァレラ、メランザーネ(なす)、ぺペローニ、それに魚介類です。ナポリ名物の揚げスナックFrittura(フリッチューラ)も見逃せません。
●ソレント
カンパーニア州には日本でも知られた多くの地名がありますが、その一つがソレントでしょう。海岸に面した風光明媚な土地柄は観光地としても有名ですが、近辺には評価の高いリストランテが多くあります。その一つミシュラン二つ星のTorre del Saracino(トッレ・デル・サラチーノ、サラチーノの塔という意味)をご紹介します。
場所はソレント近郊の海岸縁、Via Torretta 9, Marina di Seiano vico Equenseという処にある、まさに塔の下にあるレストランです。料理はもちろんクッチーナ・ナポレターナですが、特に魚料理は3人の日本人スタッフが調理を支えるお薦め料理です。
親日家で日本をよく訪れるオーナーシェフのGennaro Esposito氏は非常に繊細で美しい料理を得意としています。
別棟のワイセラーにはカンパーニア州産を初め世界中の名ワインが数千本在庫されています。
Torre del Saracino
Tel :081 8028555 E-mail :info@torredelsaracino www.torredelsaracino.it
●ペスカーラ
アブルッツォ州は赤ワインのモンテプルツィアーノ・ダブルッツィオ、オリーヴオイルで知られていますが、ペスカーラはイタリア半島の丁度ローマの反対側に位置するアブルッツォ州の漁師町です。アドリア海で獲れる魚介類を使った料理が素晴らしく、魚介のソースで食べるパスタがお勧めできるリストランテが海岸通りに集中しています。夏は海水浴客で町の人口が膨れ上がる活気を見せるイタリア東海岸の町でもあります。日本からのアクセスではイタリア半島西側に位置するローマからか、ミラノからが便利です。
タヴェルナ58(Taverna58)corsoMauthonè, 46 Pescara, Italia
●ペスカーラ
ペスカーラのアブルッツオ郷土料理のレストランは旧市街にあります。「タヴェルナ58」は小さな入口の割には店内が広く料理もアブルッツオ郷土料理と共に、ペスカーラ漁港でとれた魚料理も楽しめます。ワインはもちろん地元のモンテプルチアーノ・ダブルッツオが豊富に取りそろえられています。
●キエッティ
オリーヴとぶどうの栽培で知られているアブルッツォ州のキエッティは山と丘陵地帯の連なったとても風光明媚な地区です。
オリーヴはこの地区でよく栽培されているデリッタ種、モレッラ種、ジェンティーレ・デル・キエッティ種などが多く、ほとんどが小規模(数十本から100本単位程度)に丘陵地帯に植えられています。ぶどうはアブルッツォ州特産の赤ワイン用モンテプルチアーノ種が主流です。いたるところに収穫したぶどうを受け入れるカンティーナ(醸造所)があり、小規模に良質のワインの製造が続けられています。
●ローマ
ローマ帝国時代のローマでは比較的シンプルな料理が一般的だったと報告されていますが、ローマ帝国がオスマントルコに滅ぼされてからは多くの外国人が入って来て料理の種類も多様化されたと言われています。現在に残るローマ郷土料理(Cucina Romana)の多くはその頃に端を発するようです。
ローマ市内には有名なトリッパ(牛の胃袋の煮込み料理)をはじめとしたローマ郷土料理を提供するリストランテが多くあります。また、イタリアの中心都市でもあることから、全国から様々な料理が伝わりローマで定着してきたという歴史もあります。
例えばピッツア、ナポリがイタリアンピッツアの発祥地と言われていますが、ローマではピッツアロマーナという比較的薄いクラストが特徴のピッツアが一般的です。ピッツェリアとかで売られているピッツアロマーナは大型で長方形のものが切り売りされるのが一般的です。トッピングもトマト、チーズ、肉類、魚介類と豊富な種類が店内で調理され陳列されていて、食欲をそそられます。
●パルマ
パルマは生ハムとパルミジアーノレジャーノで有名な地域ですが、食品加工ではパスタ製造大手のバリラ社の工場があることでも知られています。また、毎年5月には食品展覧会Chibus(チブス)が開催される町でもあります。
生ハムは製造管理の難しい食品ですが、パルマの生ハムは輸入基準の厳しい日本に一番最初に輸入が認められた生ハムで、厳しい管理基準によって製造されています。
近隣にはバルサミコ酢で有名なModena(モデナ)があり、バルサミコ酢の生産を大規模に行い輸出もされています。熟成期間によって味、風味が幾段階にも格付けされるバルサミコ酢ですが、大量生産されるモデナのバルサミコ酢と共に、最近では近隣のReggio Emilia(レッジョエミリア)県で生産される高品質で少量生産のバルサミコ酢がイタリアでは評価されています。
パルマの生ハムとレッジョエミリア産バルサミコ酢、北イタリアのパスタを堪能リストランテ・プラテール(Ristorante Prater)パルマ産生ハムの盛り合わせと30ヶ月熟成のパルミジャーノレジャーノに28年熟成のバルサミコ酢をかけて味わう北イタリアの前菜には、詰め物をしたパスタ、ラビオリとトルテリー二が続くのが定番コースです。
リストランテ・プラテール
●ポローニャ
エミリア・ロマーナ州の中核都市ポローニャはボロネーゼソース(ミートソース)の発祥地として知られています。街中のレストランで提供されるボロネーゼソースパスタは牛肉の味が濃厚で、お肉たっぷり、平麺のタリアッテレとソースの相性は抜群です。
ところで、イタリアにはレストランへのワインの持ち込みという習慣があります。ご存知の方がいると思いますが、オーストラリアなどで普及しているレストランへの飲み物の持ち込みBYO(Bring your own)に似た習慣です。イタリアではPTV(Porta il Tuo Vino)と言われています。記念日などに飲みたいワインをストックしているけれども、大層な料理を家庭で作るのはどうもという場合には利用されるようです。
このレストランへのワインの持ち込みはボローニャにある「ダ・アメリーゴ」というリストランテが80年近く前にボローニャ郊外で始めたとされています。顔なじみのリストランテでは利用できる良い習慣のようです。
●レッジョエミリア
伝統的なバルサミコ酢の生産地として有名なレッジョエミリア地区では、バルサミコを使った料理が多くありますが、バルサミコトッピングのリゾットはお奨めです。
牛ミンチ肉とパイナップルのみじん切りをバルサミコ酢で煮込み、クリームチーズで仕上げたリゾットにトッピングして仕上げます。トッピングを少しずつリゾットに絡めて食べると絶妙の味わいです。
イタリアでのバルサミコは本来レッジョエミリアの隣町モデナが有名ですが、2009年に法律が改正されて、バルサミコ酢を短期間に大量に効率よく生産できるようになりました。
モデナでは最近は大手の造り手が、それを利用して超短期間で醸造したバルサミコにヴィネガーを加えて酸味の調整をし、更に着色料としてのカラメル色素を加えて製品化し、出荷しております。日本にはこの大量生産されたバルサミコが多く輸入されて販売されています。
一方で、レッジョエミリア地区の小規模な作り手は、伝統的な長期熟成を守り続けており、何も加えない本格的木樽熟成で、本家モデナのバルサミコを超えたと言われています。
●ミラノ
2015年に万博開催に向けて変わる都市、ミラノ。多くの場面で新旧が交錯するイタリア最大の都市でもあります。
食の分野では伝統的なリストランテ、トラットリア、ピッツエリア、バールと、新しいスタイルのパスティチェリア、海外からのファーストフードが混在する多様な町でもあります。街角に古くからのリストランテがあるかと思えば、その隣にマクドナルドが繁盛を極めるという活気のある町です。
ミラノのパスティッチエリアで売られているオリーヴの実が入ったパン
ミラノの食をリードする惣菜店Peck(ペック)は健在で、毎日高級食材、惣菜を求める顧客でごった返しているかと思えば、パスティッチェリアで新しいスタイルのイートインが大繁盛するという、イタリアでも随一の食の町でもあります。
EUの厳しい基準によって管理されているオーガニックの食材・食品も、専門スーパーが増えてきているという現象が見られます。有機農法、オーガニック食品の製造管理、流通販売に関してはイタリアに学ぶことが多くあるように思います。
●トリノ
北イタリア、ピエモンテ州の主要都市トリノはイタリア統一後最初の首都であり、フィアット社の本拠地、イタリア随一の工業都市として知られていますが、グルメの街でもあり、2年に一度開催される味の祭典「Salone del Gusto」でも有名です。伝統的なカフェが多いことでも知られています。そのトリノの中心街、ポー川沿いの通りVia Po(ポー通り)にあるカフェ・フィオリオをご紹介しましょう。
グルメの街トリノの伝統的カフェ、Caffe Fiorio (カフェ・フィオリオ)
ポー通りは路面電車の走るトリノの目抜き通り、アーケードのある通りの中心にカフェ・フィオリオはあります。伝統あるトリノのカフェの中でも歴史が古く創業なんと1780年、プッチーニがお気に入りだったことでも有名なカフェです。
トリノで生まれたと言われる独特の山形をしたチョコレート「Gianduiotto(ジャンデュイオット)」や「猫の舌」と呼ばれる平たいクッキーを手作りし、店先ではジェラートも売られている親しみのあるお店です。ポー通りに面した入口を入ると小さなホールにカウンターがあり、気のよさそうなバーテンさんがいて愛想をしてくれ、飲み物の注文をしやすい雰囲気です。一歩奥に入るとテーブル席があり、お昼時には豊富な野菜、魚、肉類の料理メニューをランチブッフェで楽しめます。さらに店奥に入るとリストランテ風のシックで落ち着いたテーブル席になっており、伝統的な雰囲気で食事がきるようなレイアウトになっています。
オーナーのルイジさんは日本のお客様にもぜひジャンデュイオットやクッキーを試してもらいたいと勧めています。
●バローロ・バルバレスコ
イタリア名ワインの産地バローロ村、バルバレスコ村はトリノから車で一時間程の所にあります。バローロもバルバレスコも世界的に知られた名ワインを産出していますが、共に小さなのどかな村です。バローロ村は一面ネッビオーロ種のブドウ畑に包まれた丘の途中にある小さな村で、その村の中心には11種類の地区に分かれたバローロ村産出のバローロ赤ワイン各種がテイスティングできるワイン博物館があります。
実際に11種類のバローロを味わってみると、同じネッビオーロ種から作られた赤ワインでも、それぞれの地区の地質、日照時間等の条件の違いで、これ程までに味(酸味・渋味・苦み等)、風味、コクが違うものかと驚かされます。バローロワインの生産者の大手であるMarchesi dei Barolo(マルケージ・デイ・バローロ)には地下に大樽、小樽で製造されるワイナリーがあり、見学とワインの試飲、食事もできるようになっており、多くの見学者を迎えています。
さらに車で30分程でバルバレスコ村に到着します。規模はバローロよりも小さいですが、同じネッビオーロ種から作られる安定した高級赤ワインバルバレスコの人気はバローロに匹敵します。こちらも小さな村の中心にワイン博物館があり、テイスティングが可能です。
ワインの愛好家にはぜひ訪れてみる価値のある村だと思います。
●アルバ
トリュフ、イタリアではTartufo(タルトゥフォ)と呼ばれるきのこの産地です。香りが良いことで料理の高級なトッピングとして使われますが、タルトゥフォを使った食品が多く生産されている地区でもあります。タルトゥフォ入りトマトソース、タルトゥフォ塩(トリュフ塩)、タルトゥフォバターといった具合です。
タルトゥフォ加工業者も多くあり、様々な食品、調味料が生産されています。また良質の白ワインを産出していることでも知られています。
DOMAのイタリアグルメレポート [足で集めたイタリア食情報]
イタリアには海外で知られているような“イタリア料理”という料理はありません。各地方によって豊富な食材、それに合った調理法と食べ方まで多種多様です。トスカーナ地方にはトスカーナ料理が、シチリア島にはシチリア料理があります。それらの集まりが、代表的な食材であるパスタ、オリーヴオイル、トマト、ハーブ類で特徴付けられ、他の国から見たときの集合体としてのイタリア料理として形作られています。
パスタといっても北イタリアでは乳製品、肉類を詰めものにしたラビオリ、トルテリーニなどでシンプルなソースで食べるリッチなパスタ類、南イタリアではトマトをベースにしたソースに合わせやすいシンプルなスパゲッティーニなどの麺形パスタが一般的で、種類は数百種類にも及ぶと言われています。
イタリアを旅行する人の楽しみの一つは“食べる楽しみ”でしょう。でもイタリア人の食べる楽しみは、個食ではなく“シェアリング”、家族と、友達と、一緒に楽しい時間と食べ物をシェアしながら食事をする楽しみです。陽気なイタリアの雰囲気には、豊富な料理とこの食べる時間と場所のシェアリングが大きな役割を果たしています。
一般的にイタリア人は食に関しては保守的で、地方地方で伝統を守り続けていますが、都市では食のグローバル化の影響を受け始めている面もあります。イタリア国内でのファーストフードの浸透と、いわゆるイタリア料理の他国への普及です。特にイタリアには日本を含む多くの外国から料理の修業にくる若い人たちがいて、食の現場、特に外食産業の底辺を支えています。
その人たちが自国のよい調理法や盛り付け方法を持ち込み、採用されています。修業後自国で自分の持ち味を生かした方法で“イタリア料理”を広めています。一方でイタリアを発祥とするスローフードの運動も、食の安全と伝統を守るべく広がりを見せています。
食の面でもつながりの深い日本とイタリア、変化しながらもしっかりと伝統を守り続けているイタリアの食事情を、目に見える形で「DOMAのイタリアグルメレポート」としてお伝えすることで、より楽しい食生活の情報としてお役立て頂くことができればこの上ない喜びです。
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